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「せ、先輩は…」
他人の考えることなんて興味はなかった。
相手がどう思おうと構わなかった。
自分が自分の一番の理解者で、自分のことは自分が一番知っていれば良い。
でも初めて知りたいと自分以外の人の気持ち。
「のだめの…こと」
のだめは千秋を見上げた
「好き…デスか?」
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(なにを今さら…改めて言わなくても)
「分かるだろう」と思って、女はいつもそうだとため息吐きそうになって、自分を見上げるのだめの瞳にハッとする
(そっか…)
ストンと心に何かが落ちる。
「言わなきゃ…解らないよな。お前、鈍いし」
小さく笑って、のだめの額に自分の額をそっと当てる。
のだめのことを、好きだから知りたい。
それは千秋だけでなく、のだめも同じだったのだ。
「せ」
『先輩』と呼ぼうとしたらしいのだめの音が照明が消えた驚きで途絶える。
新年までのカウントダウンの、真っ暗な闇が勇気をくれるから
「のだめ」
自分も言葉で伝えなければいけない。
自分のことを知って欲しいから。
そして、自分のことを受け入れて欲しいから。
「好きだよ」
ゼロと同時に点く照明の灯りのもとで、潤むのだめの瞳をしっかり見ながら千秋は告げた。
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