曲りなりに恋人同士

シティーハンター

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それは突然だった。

まるでピーナッツの皮がめくれるようにペロンッと獠が作った「冴羽獠」の仮面がはがれ、剥き出しになった自分を焦燥感、嫉妬心、独占欲といった感情が襲い掛かる。

こんな人間染みた感情は20年以上生きてきて初めてで、それがもたらす重度の胃もたれは消化に時間がかった。

消化してしまおうという自分の強がりをあざ笑うように、、香はいつも傍にいた。

「曲りなりでいいから傍にいさせてもらおう」と獠が結論を出すまで時間はかからなかった。

そして、獠の筋書き通りにならない毎日が始まる。

自分でも信じられないミスをするわ、アドリブ任せで恥ずかしい思いをするわ。

二枚目を自負していた自分の、カッコ悪い三枚目な姿と対面する毎日。

 ― 君は僕のすべてだ ―

 ― 君がいないといきていけない ―

自分には縁がないだろう言葉が香を目の前にするとポンポン脳に登場し、脳の指令をうけとった腕は香を巣に監禁しようとする始末。

どんな襲撃がきても耐え抜くであろう巣で、己の全てでもって愛し抜きたいと思った。

「しっかしコレは……愛し過ぎだろ、俺。予想以上に色気がついちゃってるぞ?」

香とすれ違った男の二人連れが振り返り、香の後ろ姿に餓えた目を向ける姿に獠はため息が出た。

コメント

  1. 匿名 より:

    冴羽さんの思いの変化と夜の2人の会話が素敵です。読ませていただきありがとうございます。

    • naohn より:

      嬉しいコメントありがとうございました。
      イベントも始まりましたので、ぜひご参加下さい(匿名で参加可能です)。

      naohn

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