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階下から漂う良い香りに一段飛ばしで降りるのを堪え、いつものテーブルを見ると相変わらず見事な食事たち。ツマミが中心の夜と異なり朝はこんな風なのか、とヴォルフは観察しながら、いつの間にか指定となった席に座る。
「簡単なものだけど…」
「いや、全然簡単なものじゃないし。 本来なら”こういう朝”は俺が用意すべきだったんだけど、ごめん、寝過ごした。 大丈夫? 体はつらくない?」
「私が早く起きた、だけですし、体も…大丈夫です」
前世も今世も皆どのように”こういう朝”を迎えて、どのように過ごしているのか。羞恥でヴォルフを直視できず、うつむきながら水の入ったコップを渡したのだが、
「ダリヤはいつも朝もこんな美味しいのを食べているんだね」
金色の眼を輝かせて、器用に箸を使ってほぐした魚の干物を口にいれては、相好を崩してたっぷり咀嚼する。いつものヴォルフである。
過度の緊張がとれたダリヤも、ヴォルフの向かいで味噌汁に手を伸ばす。いつもより手間をかけた朝食、みそ汁もしっかりと魚の出汁がきいていて美味しかった。
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