『魔導具師ダリヤはうつむかない』の二次小説です。
「小説家になろう」で連載中の393話を読み、pixivで読んだmonok様の作品に触発されて、私なりのヴォルダリ「自覚からの告白」を妄想しました。
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「魔剣みたいの持って唸っていると、命令を待つ配下を目の前にした魔王に見えるぞ」
「それは先ほど届いた手紙のようだが、どうした?」
ドリノとランドルフの声に心配が滲むのに気づいたヴォルフは銀蛍を付与したペーパーナイフで肩を叩きながら
「なんか最近ダリヤに避けられている気がするんだ」
ヴォルフの一言に、それまでざわついていた隊の食堂がシンッと鎮まる。
甘いより酸い多めの人生経験がある彼ら。『女が男を避ける理由』については恋の進展のチャンス到来。だが些細な悪手で相手の恋心を粉砕してしまう危険性あり。つまり、下手なことは言えず、ドリノとランドルフは相談に乗ろうとした数秒前の自分を呪った。
ちなみに例の水虫会議に出ていた他の面々はヴォルフがダリヤを怒らせたと仮定して『平身低頭で謝るべき』と一択だったのだが、箝口令が厳しく敷かれているため何も言えなかった。
「どんな風に避けられているんですか?」
結婚までカウントダウン状態、恋愛勝ち組でリア充のカークが空気を読んで”恋バナ”という地雷原に足を突っ込んだ。ただ、やや小さな一歩なのは仕方がない。
「緑の塔に行くのを拒否されている感じがするんだ。王城や商業ギルドで会うときは普通なんだ。今までと同じように話してるし、楽しいし。でも、前みたいに時間のあるときに緑の塔で食事とかできていない…緑の塔食堂のご飯食べたい」
「お前、どれだけダリヤさんに胃袋掴まれてんだよ」
「ヴォルフ、もしかしてだが<無体>したのか?」
隣国への留学期間が長いランドルフは上手い表現が見つからずエルキリア語で話したが、それを理解するヴォルフにとっては特に問題…なくはなかった。<無体>の意味を理解したヴォルフはボンッと音が立つ勢いで赤面したから『もしかして』の誤解が生じたのだった。
そしてそれは腕が長く耳の早い、次期侯爵になる彼の兄上にすぐ伝わった。
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