『魔導具師ダリヤはうつむかない』の二次小説です。
2022年7月末日まで本サイトで開催中「花火をテーマにリクエスト募集」に際し、花火をテーマに魔ダリ(ヴォルダリ)で妄想してみました。
イメージソングは大塚愛さんの「金魚花火」です。
懐かしい曲ですが、2022年春人気アニメ「パリピ孔明」× avex企画で大塚愛さんの「さくらんぼ」がYouTubeで流れて「花火」テーマの妄想がパッと浮かびました。
「えっと、これ…魚?」
「ですよね…って、急いで水に入れないと死んじゃう!」
「工房のバケツ借りるね」
ダリヤよりも数倍運動神経の良いヴォルフが急いでバケツに水を張り、その間に地面に落ちてぐったりとしていた魚を両手でとっておく。エラが動いているので生きているようだが、あまりに弱弱しいのでポーションをかけるべきか悩んだ。
数分後、何事もなかったようにバケツの中を泳ぐ魚の生命力の強さに、エサまで要求する仕草を見せる図太さに、ダリヤは呆れたのだが。
「夏祭りの露店用かな。食べる、にしては少し小さいようだけど出汁にするのかな」
「キレイな見た目なので観賞用かもしれません」
「…食べられないか」
「残念そうにしないでください」
捕食者のオーラを感じたのか、怯えたようにヒレを動かして自分の方に避難してきたような魚の行動にダリヤは笑う。朱色に近い赤の魚は前世の金魚に似ていた。
懐かしさもあってダリヤがずっとバケツを覗き込んでいると、それを見ていたヴォルフが小さく笑う。
「この魚のヒレ、今日のダリヤのスカートにそっくりだ。微風布のおかげでヒラヒラ動いて、泳いでいるように見えるし」
「そっくりと聞くと親近感がわきますね。 これ、うちで飼ってもいいですが、今後かなり大きくなるタイプでしょうか?魔魚ではなさそうですが、魔物の可能性もありますよね」
「三課で鑑てもらおうか?」
「それは最後の手段にして、まずは西区の露店を回ってみませんか?」
「いいけれど…一つ条件がある、かな」
ヴォルフのいい笑顔にダリヤが首を傾げると、ヴォルフはつっとダリヤの履くスカートを指さす。
「そのスカートは履き替えてね。いつもより可愛らしくて見ていると楽しいんだけど、腰のあたりが絞まっていてダリヤのスタイルの良さが目立つし、風で裾がゆらゆら揺れるからちらっと見える白い足が刺激的だ」
「え? そうなんですか?」
「そう、腰派の俺としては大満足だけど。 あと、何かで読んだんだけど、男には狩猟本能があって、ひらひら揺れるものに惹かれるらしいんだ」
「…狩猟本能」
「うん。現にいま、すっごく惹かれてる。うん、この魚のことは後回しにして、塔の中でちょっと遊ぼうか。大丈夫、花火は見られるように全力ではやらないから」
「着替えるので出かけましょう!」
くくくっと笑うヴォルフに揶揄われたとダリヤは膨れたものの、藪をつついて森大蛇が出たら堪らないと黙って階段を駆け上がった。
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