スポンサードリンク
「ねえ、ユーリ様のお祈り長くない?」
「そう、ねえ」
ユーリはここに来ると祈り、ウルスラと話す。それはよく見る光景で何ら不思議ではないのだが、いつもと違う雰囲気にリュイとハディはヒソヒソと話す。
「出産が近いからじゃないか?」とカッシュは言うが、二人が納得しかねていると
「ハディ…ハディッ!」
ハディを呼ぶユーリの、緊張をはらむ鋭い声。「どうしました」と駆け寄ったハディは、ユーリの体の下にある石床が濡れていることに気づき、
「生まれるみたい、なんだけど?」
困ったようなユーリの声に三人はパニックに陥り、おたおたする神官も含めて右往左往し
「陣痛が始まっていたんですね」
「解からなかった」
「まあ、初めてですしね。 カッシュ、今すぐ陛下に早馬を」
「解かった」と走り出したカッシュの耳に、女性の楽しそうな笑い声が届く。
(お前も御子の誕生に立ち会いたかったんだな…困った奴だ)
苦笑したカッシュの目に、彼が備えた花が楽しそうに揺れたのが映った。
コメント