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「両想い…デス、か?」
周囲で沸く歓声が遠くに聞こえる。
夢のような一瞬、「好きだ」と思う人に「好きだ」と言われた。
「お前な…」
口に出して初めて実感する両想い、千秋の顔に一気に熱が溜まり頬が火照る。
「自分で恥ずかしいこといって勝手に照れるな」
そういって文句を言う千秋の頬も真っ赤だから、恋愛初心者ののだめにも「照れてるんだな」って判った。
心がくすぐったくて、『好き』が『大好き』に変わる。
「まるで新しい人生が始まったみたいデス」
「丁度良いんじゃないか?」
千秋が笑ってのだめの体に腕を回す。
「新年が始まったんだし、な」
ふわりと浮かぶ体にのだめが驚いている間に、体が大きく一回転する。
だけど、のだめの視界に映るのはただひとつ。
(こんな顔をして、笑うんデスね)
嬉しそうに笑う千秋の目は甘さを含んでいて、鍛えているからかのだめを支える腕はびくりともしない。
のだめがじっと見ていた千秋の顔がぐっと近づいて、驚いて仰け反る前にキスされた。
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「は…ふぅ」
甘い吐息がのだめの唇から漏れ、思いがけない艶やかさに千秋の心がくらりと揺れる。
どうせならば、と
「名前で呼んでよ」
「…え?」
「せっかく新しい始まりなんだから、さ」
終止符が欲しい、これまでの一年だけじゃなくて今までの関係に。
想い出が欲しい、これからの一年だけじゃなくて新しい関係の始まりに。
「な、恵」
「……し、んいち…くん?」
ぎこちない呼び方に千秋は笑い、そんな千秋にのだめは照れ臭そうに怒った目を向ける。
「慣れて無いんデス」
「はいはい」
膨れるのだめの足を地面に戻し、離れる前に額にキスをする。
「慣れるのを期待してるよ、恵」
どんな一年になるかは解らない、でも千秋の望みはただ一つ。
「今年もよろしく」
新たな一年を、
君と、
あなたと、
過ごしたい。
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