「I LOVE」のハードル

シティーハンター

シティーハンターの二次小説で、原作終了後の獠×香(リョウ香)です。

2月お題イベントより、しま。様のリクエストで、お題は『好きだと言えることが嬉しい』です。

イメージソングは「Official髭男dism – I LOVE…」です。

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「いつから?」

香が俺に聞いたのはただ一度だけ、初めて抱き合った夜が明ける頃だった。それは『いつもの余裕はどこに行っちゃったの!?』と俺が戸惑うほど、甘くて熱い夜だった。

香がそんなことを聞いた理由。

鼻腔を満たす香のにおいに逆上せ、夢中になって我を忘れるなんて失態を犯した俺が、柄にもなく『愛している』なんて囁いたせいだろう。

「何? もう一ラウンド? 香ちゃん、積極的~♡」

そんなこっ恥ずかしい質問に俺が応えられるわけがない。聞かぬふりして再び香を腕の中に閉じ込めて、ほんの数時間前に処女を手放した女に無茶なことを聞いた。

誤魔化しのはずのキスで燻っていた火が一気に燃え上がったから、香の悲鳴も聞かぬふりして香の体を開いて伸し掛かった。

いわゆる両想いというやつになって、いつだって好きだと言える関係になったはずなのに。俺の身に巣食った天邪鬼はしっかり健在、抱き合って互いの理性を吹っ飛ばさなけりゃ愛も恋も囁けやしない。

あれから香は一度も俺に訊ねなかった。

まあ、聞かれても俺が応えられるかは別として、聞かれないことに虚しさを覚えたりする。

「人間、どれだけ恵まれても満足しないんだなぁ」

「大人の絵本を見ながら何を言ってんだか」

香の顔が俺の視界にニュッと現れたのと、香の声が耳に届いたのは同時。香のあとをコーヒーのニオイが追いかけていた

コメント

  1. しま。 より:

    素敵なお話、リクエストに応えて頂きありがとうございました。(*^^*)
    その辺りの女性とは違う香ちゃんから与えられる色(光)は獠にとっては
    何よりも嬉しい事なのかなと
    長年の天邪鬼が素直になるのは大変ですけど、素直になったらたくさん「好き」と「愛してる」が言えるようになるんでしょうね。

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