アドレナリン全開の警察官 / 名探偵コナン

ダークバッチ

名探偵コナンの二次小説で、新一×蘭、赤井秀一&宮野志保、降谷零&榎本梓です。

pixivで「秀志」「ふるあず」のCPに萌えて妄想しました。

シリーズになっています。第四弾は降谷零視点です。

第一弾 看板娘の爆弾発言

第二弾 天才科学者のスパダリ

第三弾 平成のホームズの苦悩

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自慢ではないが俺はモテる方だ。

ハーフゆえのこの日本人離れした容姿は、幼少期でこそ虐められる原因となったものだが成長すれば俺の武器となった。

そして、この女性受けがよい容姿は黒の組織での昇進にも役に立った。

「君が女性に四苦八苦する姿を見られて楽しいよ」

梓さんに要らぬことを言いそうな雰囲気に焦って駆けつけ、ついでにポアロで朝食をとることにした。

今日で三徹、俺は頑張っている。

このくらいのご褒美は許してもらいたい。

先ほどコ……新一君は授業に遅れると大学に、蘭さんと共に向かった。

日本人は本当に勤勉で素晴らしい……そろそろ9時になろうというのに悠長にモーニングを楽しむFBIの面々を見るとつくづくそう思う。

赤井にいたっては志保さんに、朝陽に似合わない甘ったるい視線を送る始末……この野郎ども、さっさと会計を済ませてここから出ていきやがれ!

なん、て。

梓さんに近いカウンターでそんなことを言えるわけもなく、部下たちを慄かせる視線を向けるだけですませる。

俺の怒りを感じて悟れ、と言いたいところだが赤井にこんなものが通じるわけがない。

フンッと鼻で笑う赤井に脳が湧きたつ。

しかし、大和魂は俺に味方した。

半分以上日本人の血をもつ志保さんが赤井の腕をたしなめるように叩き、紅玉のブレスレットと並んでつけられた腕時計を指さして先に出ようとする。

そんな志保さんを留めた赤井は急いでコーヒーを飲み干し、会計はすましてあるのかそのまま志保さんをエスコートしてポアロを出ていった。

志保さんの勤める大学はポアロを出て右。

赤井が臨時で職場としている警視庁はポアロを出て左。

赤井の仕草を見れば大学まで送っていくことを申し出たのだろうが、志保さんの仕草を見ればそれを断ったのだと分かる。

渋々といった態で志保さんを見送る赤井を「ざまーみやがれ!」と心の中で嘲笑して溜飲を下げた。

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― 俺はふたりのことが好きだから仲良くして欲しいんですけれど ―

コ…新一君の仲介で、赤井のことは誤解だったと分かり、一応和解した。

しかし、生理的に好かないという感は簡単に拭えない。

会うと構えて必要以上に攻撃に出てしまう。

生来赤井も喧嘩っ早い性格なのだろう、最初は涼しい顔をしているくせにどんどんヒートアップしてきて…俺たちは手が付けられなくなる。

自覚はしている、が対策は未だできない。

そんな俺たちの間に挟まれる新一君は俺たちの仲を取り持とうとする。

しかし意固地な俺たち…正確に言えば俺、に焦れた新一君は「スッキリするまでとことんやりあえばいい」と投げやりに言い放った。

だからトコトンやり合ってみた。

その結果、奴がやっぱりいけ好かないのだと再度強く認識しただけだった。

結果については、当日翌3日間の有休申請をしていておいて良かったとだけ言っておく。

ちなみに最初は俺たちの”トコトン”をニコニコとみていた工藤君だったが、やがて顔色が青くなり、時計型麻酔銃を構えてオロオロしていたらしい。

赤井とやり合っていた俺にはもちろんそんな工藤君を見る余裕がなかったが、工藤君の隣で見ていた志保さんが後日教えてくれた。

ちなみに志保さんは俺たちの決闘を動画にとって、顔をモザイク処理して動画配信サイトに投稿した。

動画はあっという間に人気になり、報道さえされ、結果かなりの額を稼いだらしい。

新しいパソコンを買えたと喜んでいた。

相変わらず抜け目ない女性だ。

病室でつけていたテレビのニュースに流れる自分のモザイク動画を見て複雑な気分になった。

不本意にも同室だった赤井もゲンナリした顔をしていたから、俺と同じ心境だったに違いない。

ふん、ざまーみやがれ。

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「降谷さん、ブレンドです。熱いので気を付けてくださいね」

俺の回想を停めて現実に戻したのは梓さんの声。

鈴の鳴るようなかわいい声と俺を包むコーヒーの良い香り。

そこに”ニコニコ”と形容できる笑顔が添えらる…完璧だ。

赤井の言う通りここはゆっくりできる。

カウンターの下にゆっくりと手を滑らせて、ほくろ程度の大きさのボタンに触れて俺は小さく笑う。

「パッと見る程度では木の節にしか見えない高性能マイクじゃ」と言って阿笠博士が自慢げに見せてくれた発明品。

俺は私費で即時購入をし、すぐにポアロのレジ近くのカウンターにしかけた。

それ以来、敵に回すと厄介な博士の発明品に感謝しない日はない。

このことは俺の部下は周知していて、今日もここに来るにあたり「俺を呼び出すならば重要性とタイミングを計り間違えるなよ」と風見に言い聞かせてある。

必要とあらば盗聴もいとわない、そんなゼロにタイミングを計れないような部下は不要だ。

「今日の日替わりランチは焼魚定食ですか、ポアロもすっかり警察官向けになりましたね」

ポアロは喫茶店だが、警察官の御用達であるためボリュームがある食事が用意されている。

警察官御用達なのは立地だけではない、むしろ看板娘の方が大きな理由だ。

このふにゃっとした笑顔を見て徹夜でも頑張ろうと思っているのは俺だけではない。

昨日の昼に「ポアロに行ってきた」と談笑する若い警察官に殺意がわいた。

二徹だったからだ。

ちなみに殺意は治まらない。

いま三徹、仕方がない。

「安室さんが辞めてから女の子のお客さんがどっと減ったんです。このままじゃまずい!と思って男性向けにメニューも考えたんです」

安室透のときには好意、異性間の情欲混じりの好意はなく友情と同じ好意、は向けられていた。

だから、あの好意が「実はポアロには潜入捜査で、うんぬん、安室透も偽名で実は降谷透、うんぬん」なんて言って消えてしまうことが嫌だった。

俺だったら相手を信じられなくなる。

嫌悪さえ抱くだろうと思っていたから尚更だった。

梓さんに軽蔑の視線を向けられたくなくて、ポアロを辞めた後はポアロやスーパーなど梓さんの活動範囲には決して近づかないようにしていた。

そんな俺に声をかけたのが

「カビが生えそうな顔つきだな。ハニートラップの名手の名が泣くぞ」

黒の組織壊滅後あっさりと元の姿に戻り、「残務処理のため来日」とかいって白々しくFBIの捜査官たちに合流する厚い皮の面の天敵。

ぶん殴りたくなるので近づかないようにしていたのに、不敵な笑いを浮かべてそう言ったときは「刺し違えてでも殺そう」と思った。

あんな嘲笑を向けられるなら(本人は「嘲笑だなんて心外だ」と言っていたが俺にはそう感じた)、梓さんに話せるだけの真実を告白して盛大に嫌われてしまおうと思った。

ちなみに仮眠があったとはいえほぼ五徹。

「勢いってスゴイ」と今でも思う。

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『いらっしゃいませ! え!? あ、安室さん!? お久しぶりです!』

看板娘の笑顔が俺と分かった瞬間にもっと明るい笑顔になった。

黒の組織の壊滅作戦が本格化する前に辞めたので半年ぶりにみる笑顔だった。

笑顔を失うのが嫌だった。

元同僚の安室に向ける笑顔はいつもお客さんに向ける笑顔とちょっと違っていた。

俺だけの、特別だった。

それを失うかもしれないことに恐怖を感じたが、赤井の嘲笑が俺の背中を突き飛ばした。

『重要なお話があるんです』

そういって俺は話せる範囲で全てを一気に話して梓さんの審判を待った。

梓さんの桃色の唇がわずかに動いたのを見たときの緊張は今でも忘れられない。

『それじゃあ…もうポアロで働いてもらうことはできませんね。公務員って副業は禁止なんですよね』

残念、と梓さんは肩を落とす。

予想外の反応に俺が何も言えないでいると、そんな俺は他所に梓さんはため息をひとつ吐いて、背筋をシャンと伸ばし、いつも通りにっこり笑って俺にメニューを手渡し

『これからはお客さんとしてポアロに来て下さいね、降谷さん』

あのとき注文したブレンドの味は一生忘れられないだろう。

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『名前が違うだけ』

そういって梓さんは俺を笑って受け入れる。

確かに梓さんは誘惑対象ではなく、トラップを仕掛けるつもりもなかった。

しかし、あの言葉は…。俺は彼女にとって安室だろうと降谷だろうと「大したことが無い」存在。

彼女の心の片隅でも俺はいるのか?

…ふっ、燃える。

本来ならば、意中の女性の眼中にないことを凹むところだろう。

しかし、よくも悪くも俺は普通じゃなかったらしい。

この年齢でようやく知ったこの新事実は俺の興味をかきたててくれた。

他のお客さんと同じ目を向ける梓さん。

頭の中で愛車のRX-7のエンジンが唸る音が聴こえる。

自分でも厄介な性格だと思うが難関なほど燃える性格なのは自覚しているんだ。

END

アドレナリン全開の警察官 / 名探偵コナン

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