【リクエスト】詩集 / 美少女戦士セーラームーン

美少女戦士セーラームーン

美少女戦士セーラームーンの二次小説です。

リアン様からのリクエストで、イメージソングは「タキシードミラージュ」 です。

乙女の詩集の挿し絵にある『スモールレディとキングがベッドの上で話している風景』で妄想しました。

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寝る前にパパが聞かせてくれるお話が好き。

ママがまだクイーンになる前の、セーラームーンだった頃のお話。

お願いすればパパはとても優しい瞳で言の葉を紡ぐ。

それはまるで甘くって、ピンク色に染まる愛の詩(うた)。

クイーンのママのパワーは月の光そのもの。

柔らかな白い光でこの街を、この地球(ほし)を包んでくれる。

白い光はとても優しい。

ママにぎゅっと抱きしめられているときと同じ。

幸せで、

温かくて、

眠りたくなっちゃう。

でもパパの話の中の昔のママは違う。

セーラームーンのときのママのパワーはまるで花火のよう。

華やかで、

鮮やかで、

まるで虹のように煌めく光の洪水。

物語の中のママは戦士。

古の吟遊詩人のようにパパは私にママの闘いを歌ってくれる。

私もいつかママのように華やかに闘いたい。

そういったらパパは「そうだな」と優しく頭を撫でてくれた。

パパの紡ぐ物語の残響が薄い闇の中に消える頃、

ママが私のお部屋に来てくれる。

「ママも一緒にお話しを聞こうよ」

そういう私にママは少し困って、

頬を染めてパパをみて、

「恥ずかしいから」と言って首を横にふる。

頬を薔薇色に染めて微笑むママはとてもきれいで、

とても素敵。

だから私はママみたいになりたい。

そういったらママは「頭はパパに似た方が絶対にいいからね!」と力説した。

ママ、心配しなくてもいいよ。

私はママ似だってみんな言うけれど、

マーキュリーは頭脳はパパ似だと言ってくれるもの。

ママがどんなにお勉強が苦手だったかはヴィーナスが教えてくれたわ。

「どっちもどっちだろう」なんてクンツァイトがため息を吐くから、

二人はそのまま仲良くケンカにしてたけど。

あのね、

私が憧れるのはママのきれいなとことか、

パパの頭のいいところじゃないの。

まぁ、美人で頭がいい方がいいけどね。

私が憧れるのはパパとママのすてきな恋。

パパは「まだ早いよ」といって恋物語はしてくれないけど、

パパが語るママの叙事詩は愛の告白。

パパはママが世界で一番大好き。

ママはパパが世界で一番大好き。

私のことももちろん大好きって言ってくれるけど、

私も2人のことが大好きだけど、

それは家族だからだよね。

そうじゃなくてね、

私はこの広い銀河のどこかにいる、

家族じゃないのに私のことを大好きっていってくれる人を探したい。

私が悲しくて泣いているとき、

パパはビロードのマントで私の涙を隠してくれる。

泣き声が人に聞かれないように、

カナリアのオルゴールを奏でてくれる。

曲が終わるまでに涙を止めるのが私たちの約束。

また笑えるようになるとごほうびに涙の乾いた瞳にキスをしてくれる。

いつかこれをパパじゃない、

いつか出会える誰かにやってもらえる日を夢見てる。

オルゴールの代わりに優しく愛を囁いてもらうの。

パパにはまだ内緒なの。

それまではずっと、

今夜も私はピンク色と白の娘らしい部屋で、

パパのママへの愛の言葉を聞き続ける。

だから私は明日もいうわ。

「ねえ、パパ。セーラームーンのお話をして」

END

【リクエスト】詩集 / 美少女戦士セーラームーン

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