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「俺の場合は重いのは大歓迎だしね」
歴代の蓮の彼女たちが聞いたら、恐らく開いた口が塞がらないだろう。「あなた、そんなキャラだった?」とビックリ仰天する女性たちの声が聴こえる。
恋人として理想的なほど優しい蓮(クオン)だが、その優しさに甘えて自律しない女性は苦手だった。“お前、それを恋人に求めるか?”と現場に偶然居合わせたローリーが呆れるほど。
蓮としては『○○と私のどっちが大事なの?』と聞かれれば、『俺を君の唯一にして欲しくないんだけど』と思ってきた。蓮の憧れのヒーローである実父が全てを大事にするタイプだったので、自分を一番にするようにねだる行為が理解できなかった。
「よくも悪くも、俺ってあの人のメガトン級の愛情に慣れてんだなぁ」
自分を一番にしてくれないとなじる彼女たちに『俺には君も大事だよ』といえなかったのは本気の恋愛じゃなかったからだと、いま初めて本気の恋をしている蓮にはよく分かった。
(そもそもキョーコちゃんが俺にそんな選択を迫るとは思えないし…俺としてもそんな不安が入る余地がないくらい愛していくつもりだしね)
クシュンと、蓮のセンチメンタルな思いを止めたのはキョーコの小さなくしゃみ。ふるりと震えるキョーコに蓮は急いで、それでも起こさないようにそっと優しく、キョーコの背中と膝の裏に腕を入れて抱き上げる。
ソファの柔らかい感触が蓮の堅い胸板に変わった違和感にキョーコは眉を顰め、馴染もうともぞもぞ動く。しばらくすると丁度いい場所を見つけたキョーコは気持ち良さそうにため息をつき、再び寝息をたて始めた。
「あー、もう可愛い過ぎ」
実父のDNAが色濃く受け継がれていてるのか愛情はだだ流すタイプの蓮。唸りながら蓮はキョーコを抱いたままベッドに横になり、長い足で布団を手繰り寄せて2つの体にかける。
「せっかくだから一緒に昼寝をしよう…こうすれば夢の中で逢えるかな」
腕の中の温もりが蓮には心地良くて、蓮はキョーコを抱きかかえながら目をつぶる。それは蓮の唇から寝息が漏れる少し前のこと。
END
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