嫉妬

シティーハンター

シティーハンターの二次小説で、獠と香は恋人設定です。

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「槇村さん」

普段は名前から二つ名のどちらかで呼ばれる機会の多い香だが、久しぶりに同窓会に参加しているため今日の香は名字で呼ばれる。

最初は久しぶりの名字呼びに戸惑ったものの、小一時間経てば慣れる。

香が振り返ると見た覚えがある程度の面影を残した女性が立っていた。

「えっと?」

「やだぁ、槇村さんったら私のこと忘れちゃったの?」

そして女性の上手に自慢を混ぜ込んだ自己紹介が始まる。

それを耳の端で聞きながら「こんな子がいた気がする」と香の脳に過去の記憶が蘇っていた。

「槇村さんってワンピースとか着ないの?」

「女性らしい格好はあまり似合わないから」

最初は香もワンピースで来るつもりだった。

親友でデザイナーの絵梨子もそのつもりで香のためにワンピースを仕上げていたが、それを試着した香を見た相棒兼恋人が「似合わねぇ」と大笑いしたため、ハンマーで伸したあとに今着ているパンツスーツに決めた。

「槇村さんって北原さんと仲良かったわよね? その服もエリ・キタハラ?」

「うん。今日は来れないみたいだけど」

「有名デザイナーが元クラスメイトなんて自慢出来ちゃうわよね」

クラスメイトとの懐旧を楽しむよりも、有名人と遭うことを目的とした声音にいささかムッとした香を、彼女は気にもせず品定めるように香を観察する。

「槇村さんはいま何を?」

「マンションの管理人の手伝いをしてるの」

「そのマンションって新宿? もしかしてオーナーが金持ちとか?」

「新宿だけどオーナーは万年赤貧状態よ」

あらそう、と興味を失くす彼女。

「価値なし」と判断されたと分かった香は内心で苦笑して、絵梨子が「同窓会なんて絶対行かない」と言っていた理由を理解した。

そして香は他の元クラスメイトと無難な会話を楽しんだ。

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