足を止めて雨宿り

のだめカンタービレ

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 「んー……」

ぐらんぐらんと揺れるベッドマットはのだめの意識を刺激する。

「お、起きたか?」

「起こしたんデス」

ううう、と呻きながらのだめはベッドマットにぐりぐりと顔を埋める。猫みたいだな、と愚図る姿が可愛くてむき出しになった項に口付けると

「…ん」

のだめは甘い声を上げるくせに、「寒いデス」と言って掛け布団を引っ張り上げて、千秋との間の衝立を作ると寝返りを打ってそっぽ向く。

「おーい」

大きな白いミノ虫になったのだめに千秋はため息をつき、「寒いんデス」とのだめは笑いながら、もっと強くしっかりとミノ虫になる。

「温めてやろうか?」

「大丈夫デス」

わずかな間

「慣れてますもん」

「やっぱり寂しかったんだな」

千秋はブハッと噴出すと掛け布団ごとのだめを抱きしめ自分の体の上に乗せた。

 「寂しかった、って言ってみ?」

プレゼントをあける様に掛け布団を剥いでのだめを取り出す。ほら、と促すと隠れる蓑を失ったのだめはそっぽ向き、

 「もっと他に言うことありませんか?」

 のだめはチラリと千秋を見て照れた様な微笑を浮かべる。いつの間にか雨はあがったらしく月灯りが暗い部屋ののだめを照らした。

「相変わらずすごい奴」

「何がデス?」

首をかしげるのだめの頬に千秋は手を添えると、わずかに体を起こして口づける。

「都合のいいときだけ雨を降らせて、俺をここに足止めすんだからな」

「なら、今から仕事に行ったらどうデスか?」

キスされた唇を拭って、少し赤くなった唇でのだめは強がりをいう。

「必要な楽譜が見つからない」 

キスのあとにそれは傷つくなぁ、と苦笑いしてさっきよりも深く口付ける。

一緒に探してくれる?、と濡れたのだめの唇を千秋が舌で舐めてると

 「甘えないで下さい」

「甘えさせてくれよ」 

掛け布団無しにのだめの体を抱きしめて、くるりと回転させて唇をふさぐ。

ここにいて、とキスの合間に甘えてみればのだめは潤んだ目で千秋に問いかける。

「お返しは?」

「俺の愛の言葉」

「もう一声」

これから始まる夜を思えば変な応酬。

分かっていてもこれが二人の逢瀬の時間 。

「ならこの一晩、聞き飽きるまで愛しき言を語ろうか」

「望むところデス」

 のだめの嬉しそうな笑顔が始まりの合図だった。

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